スポーツ選手に多い「脊椎分離症・すべり症」の気になる症状と予防法とは

こんにちは。「那珂川市いのうえ整骨院」の井上です。

毎日寒さの続く12月~3月の時期は、スポーツ選手にとって走り込みや筋トレなどで基礎体力の向上を目指す大事な時期になります。追い込んで繰り返しトレーニングを行う中で一番怖いものがやっぱりケガですよね。今日はスポーツ選手に多いケガのなかで【脊椎分離症・すべり症】についてお話します。

 

(南江堂 整形外科学 より)

 

脊椎分離症とは

脊椎分離症とは脊椎を上下でつなぐ関節突起部が疲労骨折や先天的理由によって分離しておきるものです。以前はイヌイット(エスキモー)で発生率が以上に高いことや同じ家族内で脊椎分離症を発生する人が多いという統計から遺伝的素因説が有力でした。ところが近年の統計では先天的に分離症を持っている人は日本人の約5%、それに比べてスポーツ選手になると30%~40%と、スポーツ愛好家やスポーツ選手に大多数の症例が認められたため、今では多くが青少年期の過度のスポーツが原因と考えられています。

 

脊椎分離症の主な原因は、「走る、跳ぶ、腰を回旋させる」などの過度のストレスからと言われてます。スポーツの練習の中で過度の荷重を関節突起間部で繰り返すことにより生じる疲労骨折によって関節突起部が分離してしまいます。好発部位は第五腰椎に特に多く、次いで第四腰椎に多くみられます。

 

脊椎すべり症とは

分離症が起きた椎弓分離部が前方に滑った状態の総称を「脊椎すべり症」といいます。脊椎すべり症は椎骨の滑りを起こす原因によっていくつかのタイプに分かれています。

分離すべり症:関節突起部に脊椎分離があるため前方に滑ってしまうタイプ。分離症があるから必ずすべり症が発生するわけではなく、脊椎分離症の人の約10~20%の人がすべり症に移行すると言われています。

 

変性すべり症:加齢によって靭帯、椎間板、椎間関節などのゆるみが生じて前方に滑るタイプ。脊椎分離がなくても発生することが特徴で、特に中年以降の女性に圧倒的に多いです。

 

先天性すべり症:先天的な脊椎後方の形成不全が原因で起きるタイプ。椎間関節がうまく嚙み合っていないために成長期になると椎骨が前方に滑ってしまいます。比較的珍しいです。

 

 

脊椎分離・すべり症の症状について

脊椎分離症・すべり症では関節突起部が分離を起こしていても無症状で日常生活を行える場合も多いですが、次のような症状がおきることがあります。

腰痛

腰部全体に鈍痛が生じることがあります。特に長時間の立位、同じ姿勢で座り続ける、長時間歩いたり腰を使った作業が重なるなどで痛みが強くなります。

下肢の痛み、しびれ

脊椎すべり症では、坐骨神経の神経根が刺激されることにより、お尻、ふともも、膝窩、ふくらはぎなどに痛みやしびれが生じることがあります。また脊椎すべり症のなかでも変性すべり症のタイプでは、両下肢の脱力感、会陰部のしびれや熱感、残尿感、頻尿、便秘などの馬尾障害を呈する場合もあります。

 

間欠性跛行

分離すべり症、変性すべり症のタイプでは「ある程度の距離を歩くと歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる」という間欠性跛行の症状が起きる場合があります。これは「立っていると脊椎のずれが大きくなり神経を圧迫して休むと圧迫がゆるみまたあるけるようになる」ために起きるものです。

 

予防のためには筋肉トレーニングとダイエットが大事

脊椎分離症やすべり症を予防するためには腰部に無理な負担をかけないことと、腹筋や背筋を鍛えること、そして太りすぎないことが大事になります。また、身体の柔軟性が落ちていても腰部に余計な負荷をかけることになりますので、下肢を中心に念入りなストレッチを行うことも分離症やすべり症の予防につながりますよ。

 

 

参考文献

南江堂 整形外科学

医学書院 標準整形外科学

日本放送出版協会 これだけは知っておきたい肩・腰・膝の痛み

 

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